原点
子どもの頃から“香り”を嗅ぐのが大好きで、何でもかんでもひたすら鼻に持っていき香りを嗅いでいました。良い香りもクセのある匂いもくんくん...とにかく香りが大好きな子どもでした。とりわけ“香り”のほかに“色”も大好きで、5歳ぐらいの時から好きな色は大人びた紫。幼少期かから嗅覚や視覚など、五感を刺激するものに強く惹かれる傾向にありました。大人になった現在も“香り”だけでなく、パッケージなどの“色”にもこだわりを持ってモノづくりに携わっています。
小学校に上がってからはスカウトではじめた雑誌モデルの仕事にチャレンジしたり、好奇心旺盛な性格でした。モデルの仕事は楽しく続けていきたかったのですが、中高一貫の女子校に進み、厳しい学校だったのでモデルの仕事を断念し学業に専念するようになります。母がカウンセラーということもあり、大学では心理学を専攻。将来は自分もカウンセラーの道を目指すのだろうと漠然と思っていました。
可能性を広げる勇気
勉強に励む大学生活を送る一方で、子どもの頃に体験した自身を表現する芸能の世界に改めて興味を持ち、少しずつ足を踏み入れていきます。応募したミスコンに選ばれた事をきっかけに雑誌Fineの専属モデルに抜擢され、そこからは学業と仕事を両立する生活をスタートさせます。大勢の人に出会い、学び、遊び、経験を積む毎日。すべてが新鮮でワクワクしました。
大学卒業後はキャスターやレポーターなど、テレビ業界に活躍の場を移します。レポーターの仕事は海外での撮影なども多く、日本とは異なる文化に触れる事は、思った以上に良い経験となり心に刻まれていきました。そして芸能活動をはじめて10年経った頃、私の感性を刺激した海外というフィールドで、自分の新しい可能性をもっと広げてみたいという気持ちに突き動かされ、思い切って渡英する事に。
努力の先にあるもの
渡英してからは語学留学生としてカレッジに通いながら、アルバイトをする毎日。せっかく勇気を出して渡英したのですから、軽い英会話しか出来なくとも現地に溶け込む努力をしました。大学時代に心理学を専攻していた事もあり、孤立無援のイギリス生活で自然と「人との繋がり」や「思いやり」をサービスとした“ホスピタリティ”の仕事に興味を持ち始めます。
カレッジ卒業後は、次なるステージとしてホスピタリティの専門学校に通う事に。無事ディプロマ(卒業証明書)を取得し、イギリスを代表する高級ホテル「The Ritz London」にインターンとして入社、そこでひとつめの運命の出会いが訪れます。
運命の出会い、きっかけ
ホテルでの仕事は想像以上の激務で、あまりの忙しさに睡眠不足の日々が続きました。自分だけが頼りの異国の地、持ち前の気丈さで何とか持ち堪えていましたが、やがて心身ともに疲れはピークに達します。体の疲労もさることながら、心がかなり参ってしまった時期でした。そんな日々を過ごしていたある日、私を気にかけてくださった常連のお客様から素敵な贈り物を渡されます。開けてみるとそこには、イギリスで有名なフレグランスブランドのキャンドルやボディローション、ボディオイル、入浴剤などなど...高価な品の数々にすごく驚きましたが、大好きな“香り”の贈り物にとても感動したのを今でもよく覚えています。
その日から、私の心を癒してくれるバスタイムが何よりも楽しみに。何でもないアパートの浴室が、まるで高級リゾートのSPAにいるような気分にさせてくれるのです。日々の激務で溜まったストレスが香りによって癒され、翌朝目覚めた時に「今日もまた頑張ろう」と前向きな気持ちになっている。“香り”というものがストレスを軽減し、“リラックスする事”が良質な睡眠をもたらし、さらに“ポジティブな気持ち”に導いてくれる...なんて素晴らしいんだろうと、心の底から感動しました。幼少期から感じていた“香り”への強い関心がこの出来事で確信的なものに変わり、自分の進むべき道が見えた“きっかけ”となりました。
美しさとは
ブランド名の「Beaute de Sae(ボーテ デュ サエ)」には、私が考える「美しさ」とは何か...そういった思想が込められています。「美しさ」あるいは「美しい人」について考えた時、皆さんはどういった「美」を思い浮かべるでしょうか。造形が美しい人なのか、綺麗に着飾った美しさなのか、「美しい」にはいくつもの種類があるかと思います。そんな数ある美しさが存在する中、際立って美しいと私が感じる人は、見た目だけではなく、ポジティブな心を持ち合わせている人。例えば、笑顔が素敵であったり、前向きな姿勢だったり、周りを幸せにするような暖かい雰囲気をまとっている人は、内面から滲み出てくる美しさで存在そのもが輝いているように感じます。
それとは逆に、俯きがちで表情が暗かったり文句が多いなど、ネガティブな要素を抱えていると表情や態度に現れてしまいます。見た目をいくら綺麗に着飾ったとしても、本来の魅力が存分に引き出せない状態では美しさは半減してしまいます。とはいえ、現代社会においてストレスを切り離して生きていく事は容易ではありません。かつての自分と同じように、日本の女性もストレスを抱えて悩んでいる人は多いはず。私が香りに救われたように、少しでも女性に笑顔をもたらしてくれる“香り”の商品があれば...自然とそう考えるようになりました。当時の日本のボディケア市場には、香りで癒され贈り物にも喜ばれるような商品が少なかった事もあり、「私も香りで“癒し”を届けてあげたい」そんな想いが込み上げてきたのです。
開かれた運命の扉
数々学んできましたが、さらに香りで心を癒す“アロマセラピー”を学ぶ決心をし、イギリス在住中にアロマセラピーの学校に通う事にしました。英語での試験は本当に大変でしたが、無事資格を取得。好奇心旺盛なのは大人になっても変わらずで、人生は一度きり、やらない後悔よりやる後悔、そう思いながら生きていると色んな事にチャレンジできてしまうものです。当初はイギリスでの生活をしばらく続ける予定でしたが、家族に会うため一度帰国する事に。
帰国後は日本語で改めてアロマセラピーを学び直し、香りについてより知識を深めていく毎日。アロマセラピーの知識を活かして人をどう癒していくのか、香りのボディケア商品をどうやって開発して皆に提供すればいいのか、そればかり考えていました。そんな私の前に、運命の扉が開かれます。香りの世界やホスピタリティに対する想いに賛同し、私の生き方に興味を持ってくださった方とのご縁で、大手食品会社へと入社。そして自身がプロデューサーとしてブランドを立ち上げる事となります。社内では前代未聞の化粧品づくり、チームの誰もが右も左も分からない状態で紆余曲折ありながらも、2009年「フレグランスボディケア」ブランドとして、ボーテ デュ サエを世に送り出す事ができました。夢が叶った瞬間です。
前進し続けること、変わらない想い
香りや色に興味を持ち始めた幼少期、勉強と芸能活動に勤しんだ20代、勇気を出して英国へ渡った30代、そして帰国後のブランド立ち上げ、その経験と知識の集大成がボーテ デュ サエであり、香りひとつとっても私らしさを反映していると感じます。40代で独立し、50代になったいま、時代の流れと共に興味の対象や考え方も変化し続けていますが、私が思う「美しさ」を様々なカタチで表現し、これからも皆様へお届けしていきたいと思います。今も変わらない“香り”に対する想いを軸に、失敗を恐れず温故知新の精神とポジティブな姿勢で前進し続けたいと考えています。
このブランドがスタートして以来、多くの人たちに支えられて今のボーテ デュ サエがあります。励ましや救いの手を差し伸べてくださる皆様の優しさや思いやりに、感謝の言葉もございません。応援してくださる皆様をはじめ、ボーテ デュ サエをご愛顧くださっているお客様の期待に応えていけるよう、感謝の気持ちを胸に精進して参ります。
香るボディケアがほんの少しでも、皆様の癒しとなる事を切に願っております。
最後までご清覧いただきありがとうございました。